写真●POPPO.NET 取材・文●POPPO.NET
埼玉連盟では至極困難とされる‘2連覇’の快挙である。昨春、自身2度目の総合優勝を体感した新井 繁氏(埼玉北辰連合会)が、再び埼玉ブロックGPで総合優勝! かつワンツーフィニッシュを果たした。殊勲のヒーローはむろんファンブリアーナを系源とし、奥住ダワンス、中田ボルドーといった埼玉連盟最強飛び筋との融合で築き上げられた、究極の雑系〝白鶴系〟バードであった。
GPを制し、関東3大長距離レースの1つ、ジャパンカップで今シーズン2度目の埼玉連盟のトップに立った新井 繁鳩舎。目標である鳩協・日本優秀鳩舎賞ベスト10獲得に向け、順調にシーズンを終えた。
1度総合優勝したものは近くに総合優勝をする。日本鳩界に伝わる「勝利の連鎖」は、新井 繁氏(埼玉北辰連合会)の下でまたしても再現された。しかもセミプロを多く擁する埼玉連盟では実現困難の壮挙――〝連覇〟にして総合ワンツーという最高の形で、である。さすが、日本最優秀鳩舎賞とクラウン賞の〝ダブル日本一〟を獲得した実力は伊達ではない。
総合2位は異血交配で生まれたものの、アタマのトリ‘白鶴GP’は、白鶴系もとい白鶴エースピジョンだ。その系統名の如く、全日本ゼネラルチャンピオン賞のポイントゲッターとして、GP前の3レース全て上位入賞を果たしてきた、まさに自鳩舎の‘エース’である。
トップレーサー‘白鶴GP’は、初のペアリングによって創出。といっても今や新井鳩舎の鉄板式――「白鶴系×異血」という配合パターンだった。父親は千葉Rg総合6位の俊鳩で、系源はヘイゼルブレヒト父子のバルセロナN2位鳩‘サンプラス’にかの‘ユーロダイヤモンド(07年オリンピアード超長距離部門1位)’の翔歴に匹敵するであろうと言われる‘ベアトリックスカイパー(サンバンサンN20,345羽中優勝、ダックスN15,388羽中2位)’、そしてアルティメットバード‘フィネーケ5000(オリンピアード中距離部門1位)’! 歴史的銘鳩ばかりに彩られている。
一方、‘白鶴GP’と同じく鉄板の配合式で作られた母親は、白鶴エースピジョンの完成を決定づけた代表チャンピオン ‘白鶴カップクイン号’だ。総理大臣賞・南関東地区1位を獲得し、新井氏を‘クラウン賞’へと導いたレーサーとして、愛鳩の友誌の表紙を飾ったのは記憶に新しい。なおその全兄弟にあたる‘トリプルクイン号(秋季埼玉Rg総合4位)’もまた、もう1つの日本一、‘日本最優秀鳩舎賞’受賞のポイントゲッターとして、こちらは‘レース鳩’誌のカラーに取り上げられていた。
至高といえるタイトルを2つもたらしたこの魅惑のカップルは、先述の鉄板式を象徴するような配合パターンだ。オス方は、‘白鶴天塩号(天塩CH総合3位・埼玉連盟優勝)’や‘白鶴CHレディ(東日本CH総合7位)’を生んだ白鶴系の奔流。父親自身も八郷国際鳩舎国際300Kで全国17位入賞した俊鳩である。対しメス方は異血――‘シャーリー65’を基点とした上田規博氏(埼玉南部連合会)の飛び筋で構成。超A級レースにおいて、あまたの総合シングル鳩を生み出してきたスピードタイプの系統だった。
★12KA25208 B ♂ 新井 繁鳩舎使翔
2013年春ジャパンカップ埼玉連盟300羽中優勝
果たして今シーズンの新井氏は、全国トップ10の返り咲き――‘日本優秀鳩舎賞’を目標に、Rg、600キロと順調な成績を残していった。ところが地区Nで規程の5%内はクリアしたものの入賞率的には厳しい結果に…。自信をもって仕上げていっただけにショックが大きかったという。だがここでふさぎこんでいても何も変わらない。新井氏はGPまで残された1週間、自身の経験によって作られたカリキュラムを実践した。舎外は1日朝の1回を基本とし、飛ばせるなら夕方も実施。餌については、毎日ベルギー産の鉱物飼料を別腹に与え、持ち寄り5日前から通常の配合飼料に脂肪分を1割から1割5分をプラスした。また同じタイミングで‘クラウン賞’を獲得した年から採用したという‘呼吸器系の薬’を3日間使い、
持ち寄り前日には60キロの訓練を1時間、確実に飛ばすために行った。なお参加鳩は事前に地区Nはスピード系、GPは長距離系と抱卵組と決めていたため、連投はゼロだった。チームは違うものの地区N時と限りない近いコンディションで持ち寄れたという。結果は先述の通り――1番時計、2番時計を打刻し、GP総合ワンツー! かつ埼玉連盟において06年秋以来の2連覇達成という快挙でリベンジを果たした。
長距離レースでは、裏レースとはいえジャパンカップで埼玉連盟優勝し、また桜花賞では5%内に充分の成績で入賞。春の終了時点で、彼以上の入賞率をマークしたフライターはいるものの、‘日本優秀鳩舎賞’を狙えるポジションに充分落ち着く。あとは秋の結果次第といったところだが、今まで新井氏が所属する中地区は、連盟で西側ということもあり、Rgでの勝負は難しいとされてきた。だが近年は群雄割拠の時代に突入しており、トップ10の顔ぶれをみても北、中、東各地区が入り乱れている戦況である。つまりチャンスは、‘充分ある’ということだ。
2000年の小林晴夫氏、2009年の八田 伸氏など、日本優秀鳩舎賞25年の歴史が証明しているように、秋のRgでの活躍で‘日本一’に登りつめたフライターが確実に存在する。新井氏曰く、「日本優秀鳩舎賞を獲得できれば…」とやや控えめだが、個人的には埼玉連盟‘2連覇’、そして2勝を超える衝撃――‘日本最優秀鳩舎賞’受賞、王者の復活に期待したい。
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【2013年春・新井 繁鳩舎の総合レースにおける活躍】
★JC実行委員会主催ジャパンカップ1000K | 300羽中埼玉連盟優勝(連合会優勝) | 、
★埼玉連盟主催桜花賞1000K | 1,456羽中総合26位(連合会優勝)、35位、44位 |
★埼玉ブロック連盟主催GP700K-800K | 629羽中総合優勝(連合会優勝)2位、9位 |
★埼玉連盟主催地区N700K | 3,492羽中総合18位 |
★埼玉連盟主催NPO賞600K | 4,204羽中総合26位、84位 |
★埼玉連盟主催Rg400K-500K | 8,958羽中総合22位、23位、24位、40位、52位 |
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