写真●POPPO.NET 取材・文●POPPO.NET
‘鳩レースの鬼’と言われたあの実力派――藤田淳一鳩舎(セントレア連合会)がついに日本一に輝いた。昨年、春秋のRg、地区N、桜花賞、GNの3レースで全国ナンバーワンの入賞率を叩き出し、見事日本最優秀鳩舎賞を受賞! かつ東海ブロック連盟主催のCHで総合優勝を果たし、その1羽がベルギー王立愛鳩家協会(KBDB)会長賞全国優勝を果たし、地元・東海連盟の――そして巨匠・岩田誠三氏に続いて協会5大タイトル2冠での日本一となった。ポイントゲッターの多くは1970年代に手にしたスピード血統‘ギステリング’、そして1980年代に導入したロベルト=ヴィナスの代表鳩‘スーパークラック’の銘血で構成。これらを基礎とした‘藤田系’というべき飛び筋の熟成がもたらしたビッグタイトルであった。
かのファンブリアーナの源鳩‘オードスティール’にも流れる‘コミンヌ系’をルーツとする‘ギステリング’。そしてバルセロナ、サンバンサン、ナルボンヌにてIN及びNレースのチャンピオンを輩出した、ロベルト=ヴィナスの基礎鳩‘スーパークラック’を起点とする‘スーパーレディ(1991年総理大臣賞東海連盟1位)’――。この2つの銘血を基軸にレース歴30年以上のベテラン・藤田淳一氏(セントレア連合会)は独自の飛び筋、いわゆる‘藤田系’を形成してきた。適正距離ごとに翼にボディ、そして能力は固定化されていき、その時期と比例するかの如く、フライターとして黄金期を迎える。2001年に日本鳩レース協会至高のタイトル‘日本優秀鳩舎賞’を初受賞すると、以降12年間で8回獲得! その数は史上最多を誇る。かつ昨年、2012年には日本一の称号‘日本最優秀鳩舎賞’を受賞。しかも同郷の大先輩であり、日本鳩界の巨匠と謳われた岩田誠三鳩舎(東海連合会)を再現するかの如く、総理大臣賞(現・ベルギー王立愛鳩家協会会長賞)との2冠で――であった。
‘西の横綱’こと東海連盟屈指のフライターとして長年君臨してきた藤田氏にとって‘日本最優秀鳩舎賞’受賞は宿願だった。もともとは籠2つ程度で戦う少数精鋭派だったため、‘総合優勝’のみに力を注いできたが、仕事の引退を機に一念発起! 年間の総合力、かつ入賞率だけで決まる‘日本最優秀鳩舎賞’を目標に掲げた。1発ではなく総合力が問われるため、戦力の増加が必要となってくる。多く飼育できる環境を求め、辿り着いたのが現在の場所だった。だが思わぬ落とし穴があった。確かにここは舎外にいくら出してもクレームが出ないところだったのだが、周りは猛禽類の巣だらけだったのである。やむなく‘いじらない’管理を選択…。逆境にたたされながらも黄金期を築きあげたのだから、見事の一言に尽きる。
さて今年、10年来の夢を叶えた藤田氏であったが、今回の日本一は、あるレーサーの活躍なくしてありえなかった。それは東海地区N700Kで総合11位、東海CH1000Kでは連盟、そしてブロックでもトップを射止めたトリ――ベルギー王立愛鳩家協会(KBDB)会長賞の全国優勝をも射止めた会心作‘スーパーギャル’である。主翼の開きこそ柔軟という‘藤田系’の特徴を抑えつつも、肉質、ボディバランスとそのクオリティーは史上最高だと藤田氏は自負する。革命的とも言わしめたこの1羽のバックボーンは、先述の2本柱‘ギステリング’と‘スーパーレディ’。父親はその‘スーパーレディ’のひ孫で同系からは東海アップル200Kレースで総合優勝鳩が生まれている。一方、母親もまた〝スーパーレディ〟の孫であり、代落ち同士の交配とはいえ、近親による成果であることは間違いない。‘スーパーレディ’の方が強い印象だが、体現できたのは、‘ギステリング’の血によるものだと藤田氏はいう。
1980年代に導入した‘ブールジュコック(ブールジュN優勝)’や‘グラスアイ(オルレアンN優勝)’、そして‘スノーホワイト(オルレアンN優勝)’など、‘藤田系’の大元ともいえる‘藤田輸入系’――以前の筋で、藤田鳩舎が誇る真の基礎ラインといって過言ではない。早熟性、かつ高いスピード性を備えるこの筋を使い続けてきた結果、アウトブリードよりもインブリードの方が威力を発揮することが判明。1990年、‘スーパーレディ’という、申請さえしていれば総理大臣賞全国優勝も夢でなかった最高チャンピオンを生み出したことで、系統の確立に踏み切った藤田氏は、‘固定化’のためこのギステリングに白羽の矢をたてる。その過程の中で創出された‘スーパーボーイ’は、8日間
★スーパーレディ
89SA24786 BC ♀ 藤田淳一鳩舎作翔
91年総理大臣賞東海連盟1位
東海CH1000K総合3位 東海地区N700K総合16位
東海連盟最優秀鳩、笹川賞東海連盟2位
父)スーパークラックⅡ B80-3212088 BC
ロベルト=ヴィナス作 スーパークラックの直子
母)B88-3033097 ファン=ウィルメルシュ作
スーパークラックの直系
★スーパーボーイ
94SA34505 B ♂ 藤田淳一鳩舎作翔
95年春東海Rg500K8,075羽中総合優勝
父)ギステリング93 93SA35942 BC 藤田淳一鳩舎作
ギステリング81の孫
母)スーパーレディ
89SA24786 BC ♀ 藤田淳一鳩舎作翔
91年総理大臣賞東海連盟1位
スーパクラック近親鳩
の日延べの後に放鳩された超耐久戦――東海Rgにて後続をブッチぎって総合優勝! かつ‘ギステリング’と‘スーパーレディ’のパイプ役として、‘藤田系’インブリードの礎を築いた。
近親配合による成果としては、‘スーパーギャル’はもちろんのこと、2011年秋の東海Rg総合優勝に総合8位、そして昨年のポイントゲッター・東海ブロックGN総合2位と3位が挙げられよう。
とはいえ1つの配合パターンだけでは日本一を射止めることは難しい。藤田氏は基軸こそ‘スーパーレディ’であるが、‘ギステリング’や‘スーパーボーイ’を絡ませないパターン――アウトブリードでも成功を収めている。1990年序盤に先述のオルレアン、ブールジュなどの
若鳩チャンピオン、そして‘ヤン・アールデン’、‘ヘンドリックス’といった長距離系と幅広く導入。昨年の東海アップル200K総合優勝鳩、東海ブロックCH総合2位、そして近年の最高傑作である‘エスペランサ(2004年日本エースピジョン賞全国3位)’も「スーパーレディ系×異血」という配合式で生み出されている。
むろん系統としてこれほどの威力を生み出すまでには、長い時間、検定を繰返したのはいうまでもない。血統の熟成――。先述のとおり、藤田氏の鳩舎は猛禽類の恰好の狩場とであり、管理らしい管理ができない難しい状況だ。それでもベルギー王立愛鳩家協会(KBDB)会長賞、そして日本最優秀鳩舎賞の『2つの日本一』を手にできたのは、まさに‘それ’だった。
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【2012年・藤田淳一鳩舎の総合レースにおける活躍】
★東海連盟主催アップル200K | 6,112羽中総合優勝(連合会優勝)、2位、9~11位、13位~15位 |
★東海連盟主催三条ダービー300K | 5,491羽中総合30位(連合会優勝、68位) |
★東海連盟主催Rg500K | 3,521羽中総合29位(連合会優勝、43位、44位、59位) |
★東海連盟主催SC600K | 783羽中総合2位(連合会優勝、11位、26位) |
★東海連盟主催地区N700K | 1,895羽中総合10位(連合会優勝、11位) |
★東海ブロック連盟主催CH1000K | 1,248羽中総合優勝(連合会優勝)、2位、11位 |
★東海ブロック連盟主催GN1100K | 230羽中総合2位(連合会優勝)、3位、26位 |
★東海ブロック連盟主催GP800K | 688羽中総合3位(連合会優勝)、13位、14位 |
★東海連盟主催秋アップル200K | 4,178羽中総合24位(連合会優勝)、31位 |
★東海連盟主催秋三条ダービー300K | 3,584羽中総合80位、81位 |
★東海連盟主催秋Rg400K | 1,978羽中総合8位(連合会優勝)、15位 |
★個人タイトル | 日本鳩レース協会主催日本最優秀鳩舎賞 愛鳩の友誌主催地区CH特別賞 東海連盟最優秀鳩舎賞 |
★鳩賞 | ベルギー王立愛鳩家協会会長賞全国優勝 東海連盟最優秀鳩50号 |
■藤田淳一鳩舎(セントレア連合会)
〒470-2216 愛知県知多郡阿久比町大字植大字西狐谷20-1
電話&FAX:0569-47-1800 携帯:090-3423-9069
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