続いて注目したのは、長距離の名門・デズメット＆マタイスの系統だった。ヤンセン同様に‘エジソン（1993年ダックスＮ優勝）’‘エキモフ（1993年ダックスＮ4位）’、‘ジェームス（1999年ダックスＩＮ2位）’といった代表鳩の直子――のみならずこちらも近年のデズメット＆マタイス代表チャンピオンとして世界中に知られる‘ペタキ（2003年サンセバスチャンＮ優勝）’までも導入する。これにはＧＮ男で著名な松本二郎氏（埼玉北辰連合会）の一言が大きく影響していたようだ。
「松本さんがウチのヤンセンコロニーをみてつぶやいたんですよ。『これでメジャーなＣＨがいれば完璧だね』って。それなら一流鳩舎のチャンピオン入れてやるって燃えてきましてね（笑）。私にとってそれがデズメット＆マタイスの最新ナショナルチャンプ‘ペタキ’だったんです」。
　とはいえ名門鳩舎はチャンピオンを手放すことがいかに危険なことか熟知しているため、兄弟、直子ならまだしもそれ自体を他鳩舎に譲る可能性は限りなくゼロに近い。交渉はもちろん困難を極めた。がしかし森田氏は閉所恐怖症でありながら自ら渡欧し、名門・マタイス鳩舎を守るロジャー氏に直談判。その情熱が伝わり、‘ペタキ’のトレードに成功する。ヤンセンの‘ゲシャルプト・ファン・クランパー’同様にありえないこの導入劇は、業界誌「レース鳩」にも取り上げられ、全国の競翔家から注目を浴びたことはいうまでもない。
　「ヤンセン」、「デズメット＆マタイス」――。世界が誇る一流鳩舎のトリ、代表鳩までも揃えたロストルロフトだが、結果はおもしろいようについてきた。本格始動した2008年秋に‘ブラウエ・リンクス’の孫鳩が、東京多摩あさひ杯400キロでいきなり総合優勝！　その２年後の2010年秋には‘ブラウエ・リンクス’の後継種鳩‘ロストル・ヤンセンリヒテ’の孫鳩が、東京多摩Ｒｇ500キロを制す。
　そして今春、またもや‘ブラウエ・リンクス’――の系譜‘ロストル・ヤンセンリヒテ’の銘血が勇躍。現在人気急上昇中、アントワープの飛ばし屋・ヘルマン＆コウタスの代表鳩‘オリンピアード（02年オリンピアード代表鳩）’、そしてデズメット＆マタイスの‘エキモフ’の銘血とで作られたレーサーが、東京多摩Ｒｇ400キロで総合優勝を果たすと、今度はカトリス・トーマス＝ペータース系のサンバンサンＳＮ優勝鳩‘サンバンサン号’とクロスした１羽で、中距離エースピジョンの称号‘協会賞’を獲得する。ロストルロフト自身、中距離主体であるがゆえＧＰで息切れするも、彼のヤンセンバードは世界に誇る長距離レース――東日本ＣＨでも輝いた。８大種鳩の１羽‘クランパー’の近親バードが、鳩友である吉田和一氏（茨城東連合会・登録名はゆうゆうロフト）の下で総合４位に入賞したのである。ロストルロフトのヤンセンコロニーが全関東にその強さを示した瞬間だった。
　森田氏にとって充実の春となったが、実は調教のカリキュラムが大幅に遅れたこともあり、今シーズンはレース参加を見送ろうと思っていた。だが森田氏は青梅連合会の創設者の１人であり初代連合会長。立場上、そういうわけにはいかず参戦することに…。Ｒｇからのスタートとなったが、それでも先述のような結果――Ｒｇ総合優勝、協会賞受賞という素晴らしい成績を残した。かつ、森田氏いわく「オマ